教皇フランチェスコの死に際して、S.ジジェックが「キリスト教無神論」者として書いた追悼文が話題になっているようだ。
ジジェック、知識人としてはやや迷走気味な時もあるが、この追悼文はまともだった。
実際、カトリックは公に「反資本主義」を掲げる最大の国際組織となっている訳だし、米国の覇権主義にもはっきり反対している。
「路上生活に追い込まれた老人が凍死してもニュースにはならず、株式市場での2%の下落が大きく報道されるなどあってはならない」とはフランチェスコの言葉である。
またフランチェスコは「弱肉強食」の強欲資本主義や人間を「商品」としてしか扱わないシステムを批判していた。
そういう意味では、ジジェックが「連帯」を表明しても不思議はない。
かつてナチス占領下の仏において詩人ルイ・アラゴンは「神を信じる者も、神を信じない者も」レレジスタンス(抵抗)において「連帯」することを詩にしたが、ジジェックもアラゴンのあの詩を意識したかもしれない。
ただし、現在のカトリックの枢機卿の中ではオプス・デイ(スペイン極右)の人間もおり、次の教皇選挙(コンクラーベ)で誰が選ばれるのか気になる処である。