手前味噌ながら、国際政治学界隈の沈黙に比すれば、呉座さんの一件に日歴協が声明を出した歴史学界は、まだマシだったのではないか……という気もします。それだけネットに呑まれた人が少なかった、ということかもしれませんが。問題を反省しようとする人が一定数おり、目に見える行動をしたのです。
問題は、ちゃんとした対応をした歴史学界の方がSNS上では叩かれ、沈黙してやり過ごしている国際政治学界隈の方がネット上では「うまくやった」ように見えることです。これほど顛倒したことはありません。しかしそれは、ネット空間そのものが論理の顛倒した世界であることを示していると言えます。
そんな論理の顛倒した空間での評判など、学問するのに何ら気に掛ける必要はありません。本や論文を読んでくれる人の評判を大事にすべきなのです。SNSにかまけた人は、140字の文章すらまともに読めなくなります。そんな連中に何を言われようと構わない、そういう割り切りが必要なのだと思います。