『かかし』ロバート・ウェストール作、金原瑞人訳、徳間書店刊。
初読の作家。面白い。ミステリ系の若手の方のお勧めで。
https://www.tokuma.jp/smp/book/b503112.html
『かかし』ロバート・ウェストール作、金原瑞人訳、徳間書店刊。
初読の作家。面白い。ミステリ系の若手の方のお勧めで。
https://www.tokuma.jp/smp/book/b503112.html
読み始めたんだけど、まだ19ページめで、書き手の方が親戚のおばさんたちから「ありがたいと思いなさい。毎日毎日、夫に『ありがとうございます』って言って暮らしてもいいくらいだわ」と責め立てられるシーンが悲しすぎで一回休んだ。一回休んで犬の歯を磨きに行った…。
自分が「女が賢すぎるのも考えもんだな」と親戚のおじいさんに言われたときのことを思い出したりもした(『少女を埋める』)。一見状況はちがうようで、要は「分をわきまえろ」ということだから同じだろうなと思う。
「分をわきまえるなら存在を許してやる」が世の中にあまりに多い。あなたが許しても許さなくても存在しているのに。
自分は「キメラ」に、
〝他者のことはわかりえないのだし、わからないものはわからないままおいておき、その事実にじっと耐えなければいけない〟
と書いたのだけれど、これは〝ネガティブ・ケイパビリティ〟というらしい。名称があったのか…。
もとは詩人キーツの言葉で、
〝不確かさの中で事態や状況を持ち堪え、不思議さや疑いの中にいる能力〟
〝謎を謎として興味を抱いたまま、宙ぶらりんのどうしようもない状態を耐え抜く力〟
のことだと、この本で説明されている。
著者は精神科医として、カウンセリングや終末医療にこの力がどう必要かという話や、小説家として、シェイクスピアや紫式部を例にとって物語を作るときにどう作用するかの分析をしていた。
氷室冴子さんのコバルト文庫の作品をわたしは中学生のころ夢中で読んでたのですが、この本を読むと、当時の苦労として、
「男性のインタビュアーからやたら年収を聞かれ、『ああいう小説は処女じゃなきゃ書けないんでしょ』と好意的ニュアンスで言われる」「笑顔で耐えて、帰宅後、家中のワインの瓶ぶち割って一晩中泣いた」
とか、
「のちにセクシャルハラスメントという外来語を知り、自分が怒りっぽい変な人なのではなく同じように傷つけられている仲間がいたことに気づく」
とか、
「四十代後半の男性と仕事上の意見が異なったので、話し合いをしようとしたら、向こうは気の強い女の子が我を張って甘えてきてて困っちゃうナという様子で、対等な仕事相手とは思っていないのがわかった」「試しに『別の男性も同じ意見でして』と言ってみたら、相手がギョッとして急に話を聞き始めた」
などから、
「相手に『女というバイアス』が作る不可侵領域がある。これらの経験に近い理論はフェミニズムだと気づいて支持するようになった」
とあった。
時代は違うけれど、自分のいた2000年代のライトノベル界(作家も編集者も男性が多い)も思い出され、なかなか辛い。
先日、漫画家の一条ゆかりさんがお若いころ、バーで男性編集者に頭からお酒をかけられ、編集者側は「今日の獲物」の女だった的に武勇伝としてその話をしていた、というエピソードを読んでぐったりしたのを、思い出したりした。
また、氷室冴子さんのお母さんが知らないうちにテレビに出て「娘の縁談についての人生相談」をし、娘のペンネームも本名も開示された状態で放送され、占い師さんが、
「娘さんは35歳で才能の限界を悟って結婚を考えます。俳優の竹脇無我のような優しい男性がよい。自力では見つけられないから周りが段取りしてあげましょう」
と占うのが流れた…
というエピソードは、ただ読んでいるだけでライフがゼロに…。
氷室さんは、どれだけ仕事を頑張っても自分の選んだ道を進んでも、結婚をしなければ(家父長制に従わなければ)無価値だと思われていると、大変ショックを受けた、とある。
『文藝」夏号の「松浦理英子が語るミソジニーと苦難の時代」のことも思い出した。
また、倉橋由美子さんが男性の批評家から壮絶に批判され、由美ちゃん呼ばわり(キモい…)されていたことなどをさいきんこの2冊で読んだのも思い出した。
昨夜、足首のチョコレートを拭いてからこの本を読みました。勉強になったし、編者によるあとがきの、
「社会は弱い者に合わせて作るとよい」
というお話が心に響きました。
体育教師としてのご経験から、「登山遠足のときの班分けで大事なのは〝体力のない人を中心に隊列を組む〟こと。これ以外だと怪我やトラブルが増えるし、脱落者を出しながら早く登るより、みんなで頂上に着くほうが生徒の満足感も高かった」というお話。
すごく納得して、というのは、友人と出かけるときも、体力のないほうに合わせて休みながら歩くし、アレルギーのある人に合わせて食事を選ぶし、そのほうがみんな満足感が高いよなぁと思って。
あとがきにはさらに「立場の弱い人が強い人のケアをさせられる形になると、歪な支配関係になる」というお話もあり、ほんとにそうだなと。
それにしても、個人と個人ではしていることが、どうして社会になると急にぜんぜんできなくなるのかと思い、自分のことも振り返りつつ読み終わりました。
〝ほどこしではなく、平等の気づきとしての友愛のやさしさ〟はよいな…(読んでいる途中)
面白い。しかも美容院に行く前に入った店で開いたので、舞台となる表参道でたまたま読み始めた。
近所のカフェのスタッフさんお勧めの本。
さいきんは『フィールダー』(古谷田奈月)と『方舟』(夕木春央)が面白かった。〝今〟があった。
『二木先生』読み終わる。
『彼女が好きなものは〜(略)』を思い出した。多様な正義がグルグルする。〝多様な正義のデスゲーム〟みたいに。
ほか『フィールダー』『おいしいごはんが食べられますように』『何食わぬきみたちへ』などもかなぁ。
さいきん「一つの正義を声高に書く」のは何歳以上の人、という年齢での線引きが視えるような気がしているけれど、乱暴すぎる発想かもしれない。時間をかけて考えたい。
チョ・ナムジュの短編集『わたしたちが記したもの』収録の「誤記」。『1982年生まれ、キム・ジヨン』がベストセラーになった後、著者の身に降りかかったらしき激しい誹謗中傷のことも書かれていて、震える。
裁判に訴えることになり、弁護士が身元を調べたら、一番酷い書き込みをしていたネット民が実は顔見知りで、一緒に酒を飲んだ夜を懐かしがる手紙が弁護士づてに届いた…
この本を読んでいる。山上徹也のいう「男性がDNAを残す権利」とか「女性はインフラ(?)」とか、読めば読むほど統一教会の「合同結婚式」を連想するのだけど…あんなに苦労し、憎んだのに、結局は影響を受けているのかなと…(とすごく首を捻っているところ)
反発して逃げてきた、殺したはずのものが「ルーツ」として価値観に影響を与え、バグとして自分の中に残っているのなら恐怖だと。
タイの若手作家の短編を翻訳したZINE2冊を読んだ。
『タイムトラベラー・ブレイクポイント2020』はコロナ禍の閉塞感を写し込んだ時間旅行SF。2020年代のコロナ禍が出てくるタイムトラベルSFは、わたしはこれが初めて読んだかな?
『わたしたちはクーデターの日に初めてやった』は、若い女性の性的欲望を描いた作品集で、どこか懐かしいような、日本の90年代の女流作家を思い出すような読み心地だった。解説によると、タイでは権威主義や仏教思想の影響で、保守的で抑圧的な社会があり、女性が欲望を語ると不道徳だと糾弾される。そんな中で「政治と性」について書き続ける1991年生まれの著者は新世代のアクティビストとしていま注目されている人物だと。
https://soibooks.thebase.in/
…という解説を読んで、日本にもかつて(1980~90年代?)女性が自らの性について書く、表現すること自体が体制への抵抗で政治的行いだった時代があったということを急に思い出した。
家父長制には女性側の性欲も主体的な性行為も不要なので。
これも読んでよかったなと思った。
このことに興味が出てきた(いや、戻ってきた?)ので、来月刊行される『セックスする権利』も読んだほうがよいかもしれない。〝個人的で親密で政治的な私たちのセックスについてフェミニズムは何を語ってきたか?〟イギリスの哲学者の方のエッセイ集みたい。詳細はまだわからず。
https://www.keisoshobo.co.jp/book/b618130.html
『現代思想』12月号。
「就職氷河期とロスジェネの現在」
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3752
次の連載がロスジェネ世代の主人公なのもあり、読んでいるのだけれど、辛すぎて読み進めるのが自傷行為のよう。
かつてなく〝自分の姿〟が浮かび上がってくる特集。矢尽き刀折れた一つの世代としての私たち。
辛すぎて、読みながら温かい食べ物のことばかり考え始め、いつのまにかおむすび権兵衛のメニューページを見ていた。たこむすびがおいしそうだと思った。
https://www.omusubi-gonbei.com/menu/mazegohan/
この本よかったな。様々な人の異なる考えが多面的にどんどん現れて、一人の信じる正義で終わらない。読んだ後、自分の〝面〟も少し増えたように感じる。
さいきん知人と「読者や視聴者として、ストーリーではなく価値観の提示を求めるようになってきている」という話をしたのを思い出した。
あぁ、これは読むな…いう2冊を入手。
『破果』は60代女性の殺し屋が主人公の韓国ノワールらしい。中高年や壮年の女性が主人公のアクションをいま読みたいし観たいと思う。わたしだけじゃなく時代の気分なんじゃないかと。
『絶縁』は9カ国から作家が一人ずつ参加した〝絶縁〟テーマのアンソロジー。日本からは村田沙耶香さん。テーマが愛や共感や融和ではないこと、そこから何周か回って愛や共感や融和に到達する作品もあるかもしれないこと、とにかくテーマのセンスに痺れたので。
今日は『少年が来る』。ハン・ガン著、井手俊作訳、CUON刊。前田エマさんのお勧めで。
光州事件について著者が丹念に取材した長編小説。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784904855409
今日は『カルチャーセンター』、松波太郎著、書肆侃侃房刊。
カルチャーセンターで小説を学ぶ大学生が主人公。そこで才能を認めた仲間を脳内友人にし始め、いまその人と脳内でめっちゃ創作談義しているところ…
http://www.kankanbou.com/books/novel/0513
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