『図書館の使命を問う 図書館法の原点から図書館振興を考える』読了。
本書を読んで今わたしは猛烈に感動している。
図書館法で効率の図書館は統制されている。戦後すぐこの法律が必要だと動いた人たちがいて、占領下の日本で知る権利と情報アクセス権と密接な関係がある図書館というものが必要だという憲法の理念に基づいて作られたものだと知る。ここで大きな感動が胸中に起きた。戦前から図書館法が必要だとわかっている人たちがいたことに感動している。当時の関係者は敗戦が夜明けのように感じられたことだろう。憲法25条生存権と同法26条教育を受ける権利のふたつを実践するための法律としての図書館法は、住民の生涯学習に対する奨励をするために、図書館という行政機関の権力性を規制する役割を担っている。これは憲法の保障する基本的人権が住民の日常の暮らしに制限を与えることがないよう公権力を規制する理念に合致しているのである。
ここの部分が最高。
ただ、1999年以降の改正は改悪と言っていい内容になっていて司書の役割の明文規定が追加されないなど問題もまだある。
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石油王 (petrol0110@mstdn.jp)'s status on Saturday, 24-Dec-2022 18:03:31 JST 石油王 -
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石油王 (petrol0110@mstdn.jp)'s status on Saturday, 24-Dec-2022 18:15:21 JST 石油王 図書館法と関係のある法律に憲法を挙げたが、他にもある。教育基本法である。教育基本法の第3条生涯学習の理念と図書館が存在することが合致している。教育基本法は憲法26条を実行した法律であることを考えると憲法的存在としての図書館について考える。また国会図書館は国立国会図書館法により国民議会制度の一つの位置づけになっていて、教育機関ではなく政治機関の位置づけになっている。これは知らなかった。図書館を教育機関、憩いの場ととらえていたので新しい発見とともに、なるほどという納得も得た。知る権利と情報アクセス権を考えれば図書館が政治機関という役割を担うのも当然なのである。
図書館法17条、公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならないという無料の理念の明文規定も素晴らしい。図書館法制定の時はドッジ・ラインのため緊縮財政だったが、なんとか17条を通したのである。感涙。これと対照的なのは博物館法第23条、公立博物館は博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができると但書にある。 -
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石油王 (petrol0110@mstdn.jp)'s status on Saturday, 24-Dec-2022 18:21:53 JST 石油王 無料の博物館がほとんど存在しないことを考えると、但書ですら料金徴収を認めない図書館法は立派であるとしか言いようがない。図書館法制定時は無料について当時の関係者も重要度がわかってなかったような描写も本書の中にある。有料なら知る権利と情報アクセス権をほしょうできなくなるおそれがあるのである。
ところが、1993年守口市で行政機関ではない図書館「ムーブ21」ができて管理委託など現在の派遣会社にいろいろやらせることの萌芽のようなことが起こる。しかし、やってみると結局行政機関でないと図書館の運営はうまくいかないと気づくのである。やった、図書館の勝利。
先ほど触れた1999年の改悪ともいうべき改正については、最低基準の廃止があった。最低基準とは、これをクリアしないと予算取りができなくなるというものである。それで、図書館司書を置かねばならないという考え方が機能しなくなり、高度な専門性が否定されるようになっていった。
これは業務委託の拡大やネーミングライツの拡大の問題とも関係がある。高度な専門性の代わりに商業主義が入り込んだのだから大問題だ。 -
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石油王 (petrol0110@mstdn.jp)'s status on Saturday, 24-Dec-2022 18:27:24 JST 石油王 図書館の中にはネーミングライツで200万円年間売上げを計上しているところがある。これは、図書館法17条の法的には触れなくても、道義的には触れるのではないかと議論が必要であろう。ランドマークとしての図書館の役割を考えれば、図書館の名前が契約者が変わるごとに変わるなら、ランドマークとしての機能(看板機能)がなくなるではないか。
ここまで、書いてきてまだ書いてないことが一つ。私立図書館は図書館法の対象外である。図書館に対して行政の支配権を制限するという観点であれば私立図書館は持ち主の自治で運営されるのが妥当である。本書を読んで最も感動したのは自分の常識やリーガルセンスが適切だと知ることができたことだ。図書館はタダだからと自分好みの偏った考え方の本を全国の図書館に入れましょうという運動には疑問であったが、図書館法17条でその運動に対して対抗できることを知ることができた。
もう一度言う、本書を読んで今わたしは猛烈に感動している。
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