さすがのハーバーマスも耄碌してしまったと考えざるを得ないが、知的衰えをこういう仕方で目の当たりにするのは正直つらいなあ。
アスリートが年齢とともに身体能力の衰えを見せるのは(ファンにとってはつらいことかもしれないけど)自然なことだし、それを受け入れられないということはないのよね。
もちろん、脳の機能の低下から思考力や判断力も年齢とともに衰えるのは自然なことだし、計算が遅くなるとかあれかこれかの判断に時間がかかるようになるとかいうことは受け入れられる。漢字や人の名前を忘れるとか、もっと積極的に認知症になるとかいうこともまた受け入れられるのだけど(晩年のロールズは認知症だったそうだ)、思想の内容として変質してしまうというのは、それが加齢に伴う知的衰えであるのだとしても、それまでの思想と整合性がとれなくなることもあり、かといって単純に「耄碌してるから」という仕方で片づけるわけにもいかず、つらいのよね。歴史的にはそういうのはたくさんあるし(カントもそう)、生きているあいだに観察するから特につらいと感じるだけなのかもしれないけど。
https://www.normativeorders.net/2023/grundsatze-der-solidaritat/