射精責任、途中まで読む。ある程度「見識」のある男性なら特に差別に関する知識や意識がなくともコンドームはつけているのではないか、と考えると、この本で「怒られる」男性たち=本文中で例として引き合いに出される男性たちは相当なアホなので、たぶん彼らにはこの本は響かない気がする。もちろん、ある程度の「見識」(ここで言う見識とは「ぼやっとした常識」程度のもの)がある男性がさらに理解を深めるのにも役立つので、無益ではない。
おそらく本書を批判的に言及する者はある程度以上の知識や意識がある者で、だからこそ本書の軽率な部分について指摘をするのだけど、編集および訳者がそれを一律的に跳ね除けてしまったことで、余計な問題を生じさせてしまったように思える。くわえて、本書(おそらく原書自体)の持つ(少々)煽動的なスタンスを版元側が加速させて売り出してしまったことも、個人的には首を傾げる部分である。たくさん届けたい読まれたい、そうなるべきだ、という思いは理解できるが、こと「反差別」を目的とする本に関しては、数よりも質、つまり「どのように届くのか(=読まれ、理解されるのか)」のほうを重視すべきであり、そこを無視してしまっているように思えてならない。
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R sekiguchi (gucchi_penguin@fedibird.com)'s status on Friday, 21-Jul-2023 19:54:50 JST R sekiguchi -
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R sekiguchi (gucchi_penguin@fedibird.com)'s status on Friday, 21-Jul-2023 19:54:50 JST R sekiguchi も少し続けますので。
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R sekiguchi (gucchi_penguin@fedibird.com)'s status on Friday, 21-Jul-2023 19:54:50 JST R sekiguchi 反差別の実践が別種の差別(排除)を生んでしまう可能性について理解しているのなら(顕著な例としてトランス差別があるのはすぐに思い浮かぶはず)、その実践のありかたや仲間内でのエンパワメントの方法に対して慎重になる必要があることも理解できるのではないか。過激な主張をするな、みたいなことではない。過激な主張・方法と「別種の差別(排除)を生み出さないこと」は両立するはずなので、それを目指そうということ。
そのようなことを念頭に置いたときに、著者がモルモン教徒であることを言及したほうがいい、という指摘に対して軽率に拒絶を示したことは確実に間違いだったし、その後の争いは編集や訳者と批判者の枠組みを超えて多くの者に影響を与えてしまっているわけで、その争いがもたらすエンパワメントと嫌悪感が、果たして「望まない妊娠をなくすこと=女性差別をなくすこと=あらゆる差別をなくすこと」という目的にかなうものになるのかは疑問だし、たとえそれが叶ったとしてもその過程で新たな差別/問題を生じさせるのなら、やはり無批判に喜べるものにはならない。Ryan(ライアン) repeated this. -
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R sekiguchi (gucchi_penguin@fedibird.com)'s status on Friday, 21-Jul-2023 19:54:50 JST R sekiguchi 長々と書いてしまったが、まとめると以下になる。
「反差別の目的を持った本はバズらせて売るものではない」
なぜならバズりにはある程度の「粗雑さ」のようなものが必要になり、その粗雑さのようなものにはどうしたって「別種の差別(排除)」を生じさせる要素が(多く)含まれてしまう(可能性が高い)からだ。
(本の)主張は過激でもよいが、その届け方には慎重であれ。ということか。いや、たぶんこれも完璧ではない。しかし、とにかく、バズらせるありかたは否定しなくてはならないだろう。それは明らかに「マイノリティをまなざすもの」ではないからだ。
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