「はて、ここは…」
気づけば、競馬場にいた。心なしか体が軽い。年老いて、車椅子での生活を余儀なくされていたはずが、今は自分の両足でしっかりと立っている。隣には見知らぬ若い女性が一人。こちらを興味深々といった表情で見ている。誰だろう。
競馬場など初めてだ。一体なぜ自分はこんなところにいるのだろう。垂目はどこだ?
かつて日本の料理界に君臨し、味皇と呼ばれた男、村田源二郎は、動揺を隠せぬ顔で、辺りに自分の秘書の姿を探した。
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かずえのかみ(fanfare) (kazuenokami1371@fanfare.horse)'s status on Monday, 12-Dec-2022 10:06:31 JST かずえのかみ(fanfare) - かずえのかみ(fedibird)????️ repeated this.
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かずえのかみ(fanfare) (kazuenokami1371@fanfare.horse)'s status on Monday, 12-Dec-2022 13:45:21 JST かずえのかみ(fanfare) 橘もえぎ、というらしい。
わしの様子が変なので、少し心配そうな顔をしているこの女性が、今のわしの秘書ということのようだ。というか、どうやらわしは馬主になるために、この競馬場に来たのだ。全然憶えはないが。どうしてこうなった。
頭を抱えたくなる。一度ゆっくりできるところで現状を整理したい。
とりあえず味皇ビルに戻りたいと橘さんに言うと、「は?なにそれ」みたいな反応が返ってきた。こっちがなにそれ、だ。秘書が味皇ビルを知らないはずがない。おかしい。これは夢なのか?
ホテルがとってあると言うので、そこに一旦落ち着くことにした。とにかく情報がほしい。ワケがわからん。かずえのかみ(fedibird)????️ repeated this. -
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かずえのかみ(fanfare) (kazuenokami1371@fanfare.horse)'s status on Tuesday, 13-Dec-2022 13:48:31 JST かずえのかみ(fanfare) ホテルに行く前に、上野という調教師を紹介された。いや、知らんがな。挨拶もそこそこに、ハイヤーに乗り込みホテルへと急ぐ。
車内で秘書だという女性にある程度聞いてみたが、今は昭和51年の正月らしい。その頃ならわしはもっとジジイだったはずだが、まだ白髪もないそこそこオッサンくらいの体に思える。
ホテルに到着してロビーで新聞を広げてみたが確かに昭和51年1月の新聞だった。あと、一応電話してみたがやはり味皇料理会本部にはつながらない。ホテルの従業員も誰一人料理会を知らない。これだけ大きなホテルで料理会知らないとかありえないのだが。
わしはまだ色々と混乱していたが、とにかく自分に部屋へ向った。一人になりたい。隣の部屋を取っている橘さんとドアの前で挨拶して別れ、わしは部屋に入った。とりあえず風呂につかりたい。「馬主、味皇」第三回「突然!昭和51年」