ホテルに行く前に、上野という調教師を紹介された。いや、知らんがな。挨拶もそこそこに、ハイヤーに乗り込みホテルへと急ぐ。
車内で秘書だという女性にある程度聞いてみたが、今は昭和51年の正月らしい。その頃ならわしはもっとジジイだったはずだが、まだ白髪もないそこそこオッサンくらいの体に思える。
ホテルに到着してロビーで新聞を広げてみたが確かに昭和51年1月の新聞だった。あと、一応電話してみたがやはり味皇料理会本部にはつながらない。ホテルの従業員も誰一人料理会を知らない。これだけ大きなホテルで料理会知らないとかありえないのだが。
わしはまだ色々と混乱していたが、とにかく自分に部屋へ向った。一人になりたい。隣の部屋を取っている橘さんとドアの前で挨拶して別れ、わしは部屋に入った。とりあえず風呂につかりたい。
「馬主、味皇」第三回「突然!昭和51年」