政府が学術会議や国立大学法人に無理矢理手を入れようとする背景には、軍事イノベーションと経済の関係に対する誤解があるからではないか?という仮説を持ってる。もしもこれが当たっていたら目も当てられないので外れてほしい。
そう疑ったのは、安保法制で揺れた時期の少し後に、国防総省のDARPAを取り上げてそこでの各種発見がGPSやインターネットなど米国の技術的•経済的優位を作ったとする論文を見たり、一部政治家がそのようなコメントをしてるのを見たこと。
論文の方は一応、現在の際限なき軍事テクノロジー競争を嘆いては見せていたが、しかし仮説として「軍事技術開発は経済的覇権につながる」という仮説をとっている。政治家の方はもう臆面もなく、だからもっと軍事技術への投資が必要と言いたそうだった。
だが、英米系のイノベーションスタディーズでも日本の技術史からもそんな知見は出てこない。それに近いことを言ってるのはDARPAの広報くらいで、広報を間に受けてるのでは?という気がしてくる。
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okisayaka (okisayaka@mastouille.fr)'s status on Saturday, 18-Nov-2023 16:46:17 JST okisayaka - Erscheinung48 repeated this.
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okisayaka (okisayaka@mastouille.fr)'s status on Saturday, 18-Nov-2023 16:46:30 JST okisayaka 私の理解では、アメリカの経済が復興したのはナショナル•イノベーションシステムをうまく作り、公費で行われる大学等の研究がうまく市場で商業化される道を作ったこと。軍事セクターについて言えば、アメリカが経済覇権を握った時代、冷戦が終わったのでむしろ軍事費は削減されていた。それで慌てた同セクターは軍事技術の転用可能性やデュアルユース云々を言い出して、市場に納得してもらいつつ金をもらい続ける方便を探した。だがその時の含意としては、これまでのように軍事セクターだけの閉じた領域に巨額の公費を投下し続けるのではなく、民間と協力して民間からの技術転用、および民間への技術転用で利益があるやり方を模索すれば軍事費が従来ほどかからなくても済む、ということだったと思う。また、インターネットについては欧州のCERNの貢献も大きいからDARPAだけに手柄を認めるような言い方はどうよ?とも感じる。
また、技術史からすると軍事技術開発はとにかく収益性が低いらしい。アメリカのDARPAも世界一の軍事力であろうとするために採算度外視の開発をしており、そりゃ金があれば奇抜なこともできるよね、となる。Erscheinung48 repeated this. -
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okisayaka (okisayaka@mastouille.fr)'s status on Saturday, 18-Nov-2023 16:49:08 JST okisayaka アメリカがそこまでしてもNo. 1であろうとするのは、アメリカ一強の構図を保たないと自分たちは危ないくらいの危機感があるのだろう。
そしてそのポジションにいることで採算が取れてきた、つまり軍事で壮大な無駄使いをしても他の成功するセクターから流入する資金や資源でなんとかなってきたというのはあるんだろう。
そしてアメリカのよく儲ける多国籍企業はしばしば他国からすると不条理なくらい企業の大規模化を許す法律や、税制による再配分を積極的に行わないことなどからここまでに成長することが可能になっていると聞く(だから欧州にサービス展開するとよく訴訟になる)。
あとは多少近隣諸国とこじれても自然資源に恵まれていて食料やエネルギーに不安がないという強みもある。
この辺まで考えると軍事やデュアルユースで金儲けというのは通俗説に基づく博打でしかない。
そういう博打のために大学がおかしくなったりしたら本当辛いんだが。