学生の思考能力、と言うときに気になるのは、「文章が読めない」「一人で考えることができない」という点だ。
学祭がどんな読み方をするかと言うと、前から順につらつらと読み進め、途中で眠くなり、とにかく最後まで到達したが頭には残ってない、というパターン。これを繰り返して嫌になると、もうそもそも読まなくなる。
全体像と部分の精密な読解を行き来する、いわゆる解釈学的循環に沿った読み、ができていない。その発想がない。
なので、私のゼミでは下読みを徹底するよう指導している。「まず見出しだけ見て構造を掴め」「その文章の主題は何か。最初の節・章の最後に書いてあることが多い、探せ」「本全体、章全体、節全体、と、その都度ターゲットにする全体を伸縮させて常に全体像を意識せよ」という感じ。半年もすると、真面目に取り組んだ子はかなり読解力が回復すると思う。
これができて初めて「一人で考える」ことができるようになり、その次にディスカッションができるのではないか。浅いところで「多様な意見」に触れたつもりになるより、一人一人にできるだけ「深さ」を作りたい。
と言うのが今の方針。なかなか難しいですけども。