下読みの際に大事なのが、目的を持ってメモを取ること。一番最初は、適当な間隔で見出しを全部写させて、文章全体の主題、結論、各節の役割などをメモする。これを、一枚の紙の中でやる。
次にどこを攻略するのか=どの範囲を全体と見立ててメモを作成するのか、読解の戦略を立てさせ、それぞれ一枚のメモにしていく。各節の読解を進めるなら、節ごとに一枚の紙、あるいはノートの見開きにまとめる。
学生は「先生がまとめてくれた板書を綺麗に清書する」という感じのノートのとり方しか知らないことが多い。わからない状態からわかる状態へ移行するための、手がかりを集め不明な部分に分け入るための足場となるノートの書き方を知らない。いわば、ジグソーパズルの外枠を先に組み立てそこから中身の組み立てに入るのと同じ。結果の記録ではない、思考の過程を補助するノート。
「考えろ」とだけ言っても、何をすればいいかわかるはずもないので、一つ一つを具体的な作業に分解して実践させるようにしている。
就職した最初の頃はどうすりゃいいのかわかんなくて、ちゃんと指導できなかったなぁと申し訳なく思うことが多い。それはもう取り返せないんだけれども。