記事の中でこの物言いは十分に繊細ではない/背景を説明しきっていないとわたしは思う部分があるのですが、以下引用した姿勢については同意する。(他も勉強になります)
2018/12/20 武井彩佳 | 「ムスリムの反ユダヤ主義」?――ヨーロッパ移民・難民問題のもう一つの側面
https://synodos.jp/opinion/international/22329/
“ところで、移民や難民の集団内に見られる反ユダヤ主義的な傾向を、「ムスリムの反ユダヤ主義」と呼んでよいのだろうか。もちろん、特定の政治的傾向や社会的態度を宗教的属性に還元させるかのような問題設定には慎重にならなければならない。宗教的にも均質とは言えない集団を、「ムスリム」と一括りにすることへの批判はあるだろうし、そもそも反ユダヤ主義的な傾向はイスラム教徒としての信仰心とはほぼ関係がない(注4)。また移民もしくは難民であるという、移動することに随伴する身分や状況と、反ユダヤ主義との間に直接的な因果関係はない。「ムスリムの反ユダヤ主義」と呼ぶことで、彼らをさらに型にはめ、本質主義へと向かわせる可能性もある。
しかし、「名付ける」という行為により一つの問題の存在が認識され、そこに様々な特質が付与される中で社会的な実体が生じる。現在、多くのヨーロッパ社会で実際に「ムスリムの反ユダヤ主義」という表現が使われており、また社会もそのようなものとして問題を捉えている。ここでの「ムスリム」は宗教的な指標であり、同時にエスニシティとしても理解されているのだ。したがって本稿では様々な留保の上で、カッコ付きの「ムスリムの反ユダヤ主義」を論じることとする。”