半蔵門の国立劇場で文楽を観てきた。演目は「女殺油地獄」。
油屋のおかみさんで三女の母のお吉が、別の油屋の放蕩息子の与兵衛に借金を頼まれて断り、お金目当てで殺されてしまうというお話。
今回の演出(というのか?)では、与兵衛を色悪にせず、お吉も子供を庇って必死になる様を描いていて、2人の間に色っぽいような空気をあえて作っていないように感じた。現代的な解釈で演じられていたのかなと思った。
演出といえばだが、文楽は、台詞や地の文にあたる言葉を伝える「義太夫」と、音色で空気を作る「三味線」と、人形を動かす「人形遣い」で作られる。人形は三人がかりで一体を動かす。おそらくこれらと別個の演出家という存在はいない(?)ようなので、
「どういう方向性で演出するか、このうちの誰が決めるのか? それぞれの解釈があって噛み合わないことはないのか?」
とずっと不思議に思っていた。
するとあるとき、義太夫さんのトークイベントでまさにその話になり、
(続)
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桜庭一樹 (sakurabakazuki@mstdn.jp)'s status on Monday, 06-Feb-2023 21:46:26 JST 桜庭一樹 -
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桜庭一樹 (sakurabakazuki@mstdn.jp)'s status on Monday, 06-Feb-2023 21:49:49 JST 桜庭一樹 義太夫さんが、
「人形遣いと解釈が合ってない時はあります。滔々と歌いあげているのに客席がドッカンドッカン受けていて、変だなと思ってチラッと見たら、人形が面白い仕草で味噌汁を飲んでいた」
というようなことを(わたしの記憶で書いているので不正確ですが)確か仰っていた。
やっぱりそうなんだなぁと思った。
声と動きに現れる心が、完全に一致はしてないような気がすることがなくもないのだけれど、それがよくないわけではなく、複数の解釈の揺らぎの中に自分もいられるというか。まぁ、素人の感想ですが…。
初日は合っていないが、千秋楽に向けて互いに影響しあっていくということもあるのかな? そんなことも機会があれば聞いてみたい。 -
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桜庭一樹 (sakurabakazuki@mstdn.jp)'s status on Monday, 06-Feb-2023 22:15:35 JST 桜庭一樹 国立劇場は10月で閉鎖され、建て替えられ、2029年に再オープンするらしい。通い慣れた劇場なので寂しい。今年はさよなら公演もあるので通いたいなー。
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