芦田宏直(人間環境大副学長)
人物主義のハーバードは多様性を目指していますが、選抜される学生は圧倒的に富裕層が多い。大変高い基礎学力も前提になっています。点数主義の東大の学生も高所得家庭の出身者が多いが、ハーバードに比べれば多様な所得層から入学しています。
「人物をみる入試」とは実は「本人の努力が届かない、育ってきた環境も含めて人を評価する」という選抜方法です。…本人の意思や努力や先生の教育よりも、家庭や周囲の環境に左右されます。人物本位とは「育ちの良さ」を見ることの言い換えでしかありません。
相対的に環境に影響されにくい主要教科について、ペーパーテストという公平な競争を行うことで、次世代のリーダー候補を選抜する。それによって世代ごとに階層がある程度シャッフルされ、欧米に比べ平等な社会が実現した。人物本位の入試になれば…階層の固定化が一層進むでしょう。
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