母から打ち明けられた後に、父の顔を見れなくなった。それから少し経った後に思い出したのが、姉からすごく昔に聞いた「子どもの頃、両親と一緒に寝ていたら父が母にセックスをせがんでいたのを聞いてしまった。なんだか重い空気が怖くて思わず泣いたら、母が父を、ほら、起きちゃったじゃないと窘めていた」という話だった。それは末の弟が産まれる前だと思うけれど、母はどんな気持ちでそれを拒否していたのか。当然だけれど、「男の子をいちばんいいタイミングで産まなければいけない」みたいなプレッシャーと闘っていたのではないかということを今では想像している。