佐橋亮『米中対立 アメリカの戦略転換と分断される世界』、6割くらい読んだ。アメリカの対中国政策の歴史を振り返るモノで、わかりやすく整理されててすごく勉強になった。この人の書くものは、『世界』なんかでも結構面白かった記憶があって選んだ。
アメリカの対中政策は、基本的には「発展してきたら人権についても国際貢献についてもまともになってくれるだろう」という楽観的見通しをベースにした関与=協調・支援政策。天安門事件など大事件があればそれなりに揺らぐが、しかし、なんだかんだと結局関与路線が維持される感じ。
しかし、一向に中国政府にそのような変化は起きないオバマ政権後半になり、「中国ファーストなまま無視できない大国へと成長した」中国を明確に戦略的競争相手として位置付けていく、という流れ。これがトランプ政権で決定的になるわけだけど、トランプ個人が主導したというよりは、積もり積もった中国警戒論が背景にあり、トランプ政権成立は対中国政策の転換のきっかけにすぎない、と理解した方がいい。
ただ、一方で(いつも思うことだが)国際政治、外交の専門家が書くものは、大きな欠落があるようにも感じる。→