「自分が、今ここにいることを知らせないと親が心配する」と、とっくに亡くなった自分の両親のいる「実家」(当然、存在しない)に電話を掛けたいと言い続け、「実家の電話番号を教えてくれ。私を助けてくれないのか?」と必死で懇願してくる。存在しないものをどう教えたら、何と答えたらいいのかわからない。目の前に用意した食事には一切目もくれず、自分の携帯電話にかじりついたまま1時間が過ぎた。