そうなんですね。
私もあの人に習っていた時期があったので、とても懐かしいです。
あの頃オープンカウンセリングという催しが麻布十番で毎週催されていました。当事者である子どもや親の立場の人が、数十人の聴衆の前で、自分の家族の問題を相談する催しです。
私もそれではないけれど、殆どそっくりの催しに相談者として出て、数十人の聴衆の前で、斎藤学さんに自分や自分の家族のことを相談したことがあります。
あそこが私の、謂わば「トラの穴」でした。何故トラの穴と呼ぶかと言えば、治療者も患者も学生もあそこでは皆が当事者で痛みを抱えた者同士だったからです。
あの頃はあれが「この先の日本でもずっと続くんだろう」と漠然と思っていましたが(金満日本の経済的に豊かな親世代が子世代を抱え込んでしまう病理)、ほんの二、三十年で、もうあんな豊かな親世代はほぼ消え去り、世の中はガラッと様変わりしましたよね。
「親の年金だけが頼りだったいわゆる引きこもりの息子が、親が亡くなった後に、死体を家の中に放置したまま、年金を受け取り続けていた」という事件が立て続けに起きていた時期が何年かありましたよね?私はあの頃が時代の潮目が変わった時期なんじゃないかと思っています。あの頃を境だったんじゃないかなと。