ついでに、法律時報2024年5月号の波多江論文で、法の支配報告書(Rule of Law Report)における「法の支配」について、2020年法の支配報告書からの引用がされていて、「法の支配」の説明としてとても分かりやすかったので紹介しておく。
「法の支配の下では、あらゆる公権力の行為は,いかなる場合であっても、法によって定められた制約の枠内にあり、民主主義と基本的人権の価値を遵守し、独立かつ公平な裁判所による統制に服する」(p.34)
さらに、これを受けて、「法の支配」を構成する原理として、同報告書では「透明で、説明可能で、民主的で、多元的な立法手続を伴う合法性、法的確実性、行政権の恣意的行為の禁止、独立かつ公平な裁判所による実効的な司法的保護および基本的人権の尊重を含む実効的な司法審査、権力の分立、法の前の平等」(同)が、挙げられていることを、波多江氏は紹介している。
EU域内でどれだけこの理想が実現しているのか、という議論はあるかもだけど、「法の支配」という言葉を使う時には、頭に置いておきたい。