人口が減ること自体は地球環境への負荷や個々の人間の幸福を考えると望ましいことだと思っています。
そのへんは深沢七郎に多大な影響を受けました。『楢山節考』とか『東北の神武たち』とか、産児制限運動を賞賛したエッセイとか。
避妊の技術が発達した現在では嬰児殺しや堕胎によらずに産児制限が可能ですから、深沢が描いたような過酷な状況は避けられるし、人口が少なくなれば、大地をいためつける工業的農業をする必要も無くなりますからね。
けれども、人が減っていく過程においては、社会が非常に過酷なものになりうるということも事実だと思うのです。
先ず念頭に浮かぶのが、介護を必要とする人の数が介護を提供できる人の数を圧倒的に上回る状態。生産活動に従事できる人の数が少なくて物やサービスが十分に提供できない社会。コストの高い人は早く退場して下さいという社会。
倫理的な富の再配分によって、あるいは、技術革新によって、解決可能な問題なのかな。私には分りません。
もう一つ、もっと厄介なのは、「お前らが減ってくれ、俺の子孫には増えて欲しいから」というエゴイズムでしょうか。