コンマは雌だったので、飼い続けるために、動物病院で不妊手術をした。術後二三日はぐったりとして元気が無く、大丈夫だろうかと心配したが、やがて回復して、元のように軽やかな足取りで歩くようになった。
いつの間にか、父が「コンマ、コンマ」と呼びかけるようになっていた。
家に客を迎えたときも、家族と客との関係を知っているかのように、親しい人には近寄って行って、身体を撫でさせた。
ある日、夜遅くになってもコンマが帰宅せず、あれ? どうしたかな、と思ったら、それっきり帰って来なかった。
はー、猫。もう飼えないかな。