「そもそも、『国を失った流浪のユダヤ人』などという発想は、古代の帝国の侵略、支配についてまったく常識を欠く。…基本的には、特に農民については、外に追い出してしまったのでは侵略の意味そのものが失われてしまう」「パレスチナにずっと生き続けたユダヤ人は…宗教的にも言語的にもイスラム化・アラブ化していった。その末裔が今日のパレスチナ・アラブ人である」(田川健三『書物としての新約聖書』pp.243-244)