「これに対し、他の多くの先進国の医療制度はもっと経済危機に強いものだった。
(中略)
そうした国々とアメリカとの違いは、今回の大不況
(引用注:リーマン後の世界同時不況)でも大きな差となって表れた。
アメリカでは何百万人もの人々が医療を受けにくい、あるいは受けられない状態に陥ったが、
イギリス、カナダ、フランス、ドイツなどでは、
医者に行くのを控えたり、予防医療を受けるのをやめたりした人はずっと少なかった。
これらの国々では
医療は市場財ではなく人権の一つ
と考えられていて、職や収入を失っても受けられる医療サービスには
あまり差がなかったからである。つまり、経済が打撃を受けても、
国民が「破産か健康か」を迫られるようなことはなかった。(p182)