一応、知らない人のために断っておくけど、あの映画は戦争の話ではないです。1965年と言うのだから、私が生まれたあとの出来事だな。日本軍が彼の地でやってきたことの影響はあるのかも知れないけれど、それは今は別の文脈なので置いておく。とりあえず第二次世界大戦はだいぶ前に終わった後、インドネシア国内の共産主義者殲滅作戦みたいなものがあったらしくて、その時の話。
ただそこで罪のない人間の大量虐殺を実行した人間が、今もまだ大手を振るって生きていると言うのが、戦後の日本に私には重なった。
膝に孫たちを抱いているプレマンは、安倍晋三を膝に抱く岸信介だし、私を膝に乗せる私の祖父。私くらいの世代までは、祖父の世代が兵士として戦争に行っている。日本中の男が駆り出されたのだから例外は本当に少ない筈。だけど、そこで何をしてきたのかは、私の祖父も含めてほとんどの帰還兵は語っていない。
私よりも若い世代になると、それは自分が生まれた時にはもう仏壇の遺影になっていた曽祖父なんじゃないか。またはもっと若い人なら、曽々祖父?とにかくほとんど知らないご先祖だろう。
でも私は内孫だったので毎日一緒に暮らしていた人だ。
その人たちが多くを語らないことを良しとして、家長と敬い、被害国の人を戦前と変わらず見下し続けた戦後社会だった。