脳卒中の世界に「旅」して、見方はガラッと変わりました。まず道を歩く、歩きにくそうにしている人や杖を持っている人に気づくことが以前より増えました。そういう人が社会で急増するわけないのですから、以前は自分の視界にあまり入っていなかっただけです。今では「お仲間かな」「それとも違う困難を抱えておられるのかな」とあれこれ思いを巡らします。社会の様々なバリア、反対にユニバーサルデザインの考え方で作られたものにも、以前より気づくようになりました。「強者」だった頃の自分を思い出すとき、以前からそこにあるのに「強者」に認識されてこなかった社会のさまざまな差別を顕在化して理解を深めることは、差別をなくす過程では意味があるのではないかなと思います。最終的には敢えて顕在化させなくても、みんながお互いを尊重しあって等しく生活するのがいいのでしょうけど、現在は道半ばです。公教育が公然と「女子」にだけ家庭科教育をしていた時代(今ではとても考えられませんが)から40年たっていないはずです。部落差別はいまだに消えていません。ハンセン病患者の人たちの救済が動き始めたのは21世紀に入ってからです。