美少女の登場にうっとりする王子様。
だけど、よく考えてみたら、今回の旅は戦いの連続となるはず。美少女もネコも向いてはいない、かも……。
王子の心に不安の黒雲が漂った瞬間、黒い服を着た美少女の体が縮み、あっという間にクロネコに逆戻り。
「王子様、あなた私を愛してないでしょ⁉︎ 真実の愛のこもったキスじゃないと、私はまたネコに戻っちゃう。愛しなさいよ。そして結婚して!」
「会ってすぐに愛してなんて言われても」
「一目惚れよ。惚れたでしょ」
「確かに可愛かったけど…」
「まあ、いいわ。愛は実力で掴むもの。私があなたを護る。あなたは絶対に私を好きになる。だから、今は結婚だけを約束して。この国の王家は一夫多妻を許されてる。私は一番だから第一の妃ね。それだけ約束」
「ん、ああ、いいよ。猫のお姉さん結婚しよう」
幼い王子はことの重大さを知らずにオーケーしてしまった。王子様が結婚するとなれば、普通は他国の王女であるはずが、得体の知れないネコ娘と婚約してしまったのだ。
次の朝早く、王子様は旅立った。ペットの猫。いや、最初の婚約者といっしょに。