「キミはオスなんじゃないの?」
「ボクは人間の女の子だよ。呪いでこの姿になった。でも、喋れるし、王子様を助けることができるんだ」
「その、どうやって?」
「まずは、そうだね。キスして」
「えっ?」
「ボクにキスして。それでボクは人間に戻れる。王子様のキスで奇跡が起きるのは定番でしょ」
「あああ。そうだねええ……」
曖昧な笑みを浮かべ、ほっぺたを掻く王子。
「本気にしてないの?」
「あんまり。突拍子もない話だから」
「猫と普通にお喋べりしておいて何言ってんの!」
「はは。でも、動物とキスするなんて汚いじゃないか」
「ムカッ。ボク、人間! 女の子。わりと美少女。この姿でも歯磨きはしてる。お風呂にも入ってるよ」
「そうなの?」
「そうだよ。確かめてみて」
王子の胸に飛び乗る黒猫。
「ほんとだ。臭くない。いい匂い。これ、何の香り…」
言ってる王子の唇に黒猫の口が触れる。その瞬間、光の洪水が起こり、王子は目を閉じる。次に目を開いたとき、王子の前には黒いドレスをまとった美少女がいた。
「どう? ボクの本当の姿。お嫁さんにしてくれるよね」
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葛城 真実(かつらぎ まさみ) (masamix@mstdn.jp)'s status on Thursday, 18-May-2023 18:57:51 JST葛城 真実(かつらぎ まさみ)