兄妹のモグリの冒険者はギルドによって捕縛された後、オーガの国に送られた。
オーガの王の前に引き立てられた2人は王の隣に人族の女性がいるのを見た。オーガの国の王妃は人族であった。
そして王によって、2人が王と王妃の子供であることが告げられる。
王子と王女。そうなるはずの二人は、人族の女に攫われ、同族殺しに仕立て上げられたのだ。
その凶行のきっかけは、激しい嫉妬。王妃と友達だった女は、武者修行の旅に出ていたオーガの男を愛したが、選ばれることはなかった。選ばれたのは王妃となった女。
オーガの子を孕っていることを知った時、オーガは喜び、王妃は驚き、友達の女は嫉妬に狂った。
辺境の街で王妃が出産した直後に、嫉妬に狂った女は赤子を攫い、殺すより残虐な復讐を思いついたのだ。
「人族は我々を鬼と呼ぶ。しかし、本当の鬼は誰であろうな」
王は2人の罪人に住まいを与えたが、そこから出ることは許さなかった。
しかし、その家は不幸な育ちの半人半鬼の二人にとっての唯一の安らぎの場所となったのである。2人は王の寛大さに感謝して生涯を過ごした。