母が未だに優生思想で私がそこから脱出できたというのは、母の場合は生い立ちから優生思想を持ってしまう切実さがあり、私はそこまでの切実さはなかった、この違いなのだと思う。
私自身は一人っ子で祖母と父は優しかったので(母とは大人になってから関係良好になった)、私のそれは母から何度も聞かされてきたからという、「周りで優生思想が強く喧伝される環境にあった」だけだから、その考え方の間違いに気がつけばわりとすんなり止められる。
いまは、政治やメディアをあげて優生思想(しかも、まさに母が強く思っていたような「みんな本音では優生思想なのに、良い子ぶって全ての命は大切なんて言ってるだけでしょ」というメッセージ)だから、私のようにそこまで個人的な切実さがなくても、ぼんやりと優生思想に染まっているという人も多いように思う。
ただ、今の学校は知らないけれど、昔の学校は人を大事にしない、子どもを人としてみない、人に優劣をつけるという環境だったので、全体的にそういう考えを増長させる土壌はあるのかもしれない。