四月二十一日(金)
秋山高君(山王ホテル取締)の話に、出入りの職人が荻窪のほうからくるが、同方面では東條の評判がひどく惡いそうだ。なぜそんなに人気が惡いかときくと、「配給が惡いからです」と。
久しぶりに改造を読む。蘇峰の巻頭論文あり。時局を樂観も悲観もせず正視するという。それから日本の近情を不親切で形式主義だと攻撃している。この人の頭には二つの日本が劃然として存在している。それは神国日本と堕落日本だ。そして日本が堕落したのは西洋個人主義の影響だと考えているのである。いま彼が望むごとく戰爭に入って、いわゆる日本主義が全盛になったのに、なぜ日本がよくならぬのか。
日本には不敬罪がいくつもある。一、皇室、二、東條、三、軍部、四、徳富蘇峰──これらについては、一切の批判は許されない。
午後、国際関係研究会のことで、蝋山君と会見した。事務所を決定。そこへ朝日の記者來る。東條と重臣の会見で、東條が一時間半ばかり演説したよし。重臣の側で動いているのは、阿部信行と岡田啓介である。東條はいまのところ止めそうもないと。
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