四月十五日(土)
また閣議で配給機構が変った。閣議というところは、魚の小売りや、切符のことばかり相談しているところらしい。とにかく役人は他に用がないのだ。統制の面白さに図面ばかり引いている。小汀利得は常に言う、「役人というやつは、どうしたら国をつぶすことができるかと、そればかり苦労している」と。奇警な言だが眞理あり。
いま悲観論をやっている連中が、眞珠湾攻撃当時はあの一撃で米国が屈すると考えていた連中だ。三宅晴輝のごときもその一人で、僕にひどく食ってかかったものだ。木曜会においては東京日日新聞の西野入(愛一)君が、得々として戰爭が東日(毎日)によって指導、勃発したことを演説したものである。
渡辺銕藏博士が流言による海軍刑法違反の容疑で、十四日起訴された。大阪で話した内容が惡かったとのこと、渡辺君は大胆な言説をしていた人である。
業者は統制関係の法令や命令を読んでいるだけでも大変だ。それを覚えた頃は、また新しいのが出る。