レジー『ファスト教養』(集英社新書)。これはとても面白い。ひろゆき、中田敦彦、カズレーザー、DAIGO、前澤友作、ホリエモンなどのインフルエンサーを求める欲望は、ネオリベ的価値観を内面化したロスジェネ的な感性の正確な延長上に出てきたものなのだ、とあらためて。コスパやワンチャンを求めるファスト教養は、努力よりも偶然や運に左右されがちな世の中ーービジネス界隈で「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代」と呼ばれるーーにおけるサバイバルツールである。つまり、地道に努力するのではなく、最小限の力で最大限の成果を上げていかなければ、そもそも生き残れない、成長し続けねば競争から脱落する、という強迫観念。楽をしたいというのとは違う。ほとんど資本主義そのものが気候変動や環境破壊の等価物のようなんだよな。