『古代ギリシアの民主政』、最終章から印象深かったところを抜き書き(2/2)。
「プラトンは、国家を船にたとえた。そして当地の専門技術を知らぬ素人の民衆に国のかじ取りをゆだねる民主政が、いかに危険で不合理かを説いた。統治は専門家のエリートにまかせればよい、と彼は信じた。
…しかしここで私は、ふたたび碩学フィンリーの言葉を借りたい。彼はプラトンのエリート主義に対し、アテナイの民衆を代弁してこう反論する。むろん専門家は必要だ。船を雇うときには、私も船長に操船をまかせるだろう。だが、行き先を決めるのは私だ。船長ではない。
私たちの将来を決めるのは、私たちであって、政治家ではない」(p.240)