本棚を整理してたら、親父が持ってたドーゼの短編集が出てきたので読んでみてるんだけど、1本目が有名な「最後の授業」で、いやこれはひどい。聞きしに勝るひどさだ。
プロイセンに占領されたアルザスでフランス語教育が禁止されたために小学校を去る教員が最後の日に授業をして…という話なんだけど、「あなたたちは真面目に勉強しなかったのでフランス語をまともに話せない」とか言うわけだよ。
だけど、学校で習わないと話せない時点で、生徒たちと親たちの母語はフランス語ではない(アルザス語だ)。そういう人たちに小学校からフランス語を教えるって、要は植民地主義じゃん。そんなことをしておいて「先生はフランス語がいかに優れているか、いかに美しいかを話した」って、なんの陶酔だよ。そして「そんなことだからドイツの一部にされてしまうんだよ」みたいな憤懣をぶつけるんだけど、いやいや、その前に考えるべきことがあるでしょうよという(実際にはプロイセンの同化政策のほうがはるかに酷かったんだけど、それはともかく)。