「新しい戦前」の今こそ、加害の歴史忘れず「経験化」を 奥泉光さん:朝日新聞デジタル https://www.asahi.com/articles/ASR854G4FR83UPQJ014.html
日本社会は、先の大戦の失敗を国民集団として反省的に言語化し、教訓として共有したことは、一度もなかった。その大きな理由は、戦後長らく、悪いのは軍部であり民衆と天皇はイノセントだったという「物語」が流布してきたこと。これはGHQと政府の「合作」です。
負の歴史から目を背けたい願望は、右派だけではありません。司馬遼太郎も、日本近代史で昭和前期だけが「異胎」だったと書いています。輝かしい明治と明るい戦後に挟まれた狂った戦前という「司馬史観」が独り歩きしたのは、国民にとって、加害性を忘却し犠牲者像に安住できる好都合なものだったから。