知られざる戦争トラウマ 「ないもの」にされた元日本兵たちの心の傷:朝日新聞 https://asahi.com/articles/ASR8G61ZKR89UTIL02H.html
中村江里・広島大学大学院准教授によると、断片的な陸軍資料や米軍調査から推測すれば、現在のPTSDに該当する人々を含む精神神経疾患の兵士は、少なくとも数十万人に上ったと考えられるという。
旧日本軍は、ひそかに精神神経疾患専門の国府台陸軍病院(千葉県市川市)に患者約1万人を集めていたが、その存在を隠蔽した。そして「皇軍に軟弱な兵士はいない」というプロパガンダを流し、精神を病んだ兵士の存在を否定した。
心を病んだ兵士は、自身を「恥」と思い込む傾向が強いという。精神疾患への偏見の強さや、加害行為を打ち明ける難しさも相まって、戦後も兵士本人や家族は声を上げられなかった。一方、各家庭では虐待などの様々な問題が起きたが、社会問題化しなかった。