https://twitter.com/t_kawase/status/1622769332328730625
安丸良夫(故人なので敬称略)の発見による通俗道徳概念は、日本近代を語る上で必須のものと私も思います。というわけで安丸の著書を何冊か読んだのですが、むしろ江戸時代に通俗道徳が生まれた時は、革新的な思想であったという面もあったといえるのです。
つまり、身分制社会で、生まれで人生がだいたい決まるような社会において、いや勤勉・節約・孝行・等々に励めばもっといい人生が送れるんだよ(励まないと家が没落するよ)という教えは一定、社会の活力を引き出す意義があったと考えられるわけです。
しかしもちろんそれは、自分で主体的に、「一生懸命やろう」と心から思ってこそ意味があるのであり、明治以降のようにお上が「励まねばダメだぞ」と押し付けるのは、欺瞞的な詐術に過ぎません。……さて、ではいつ通俗道徳がそのように意味を変えてしまったのか。私は漠然と明治以降と思っていました。