デヴィッド・グレーバー 『アナーキスト人類学のための断章』読了。
国家は暴力の独占によって成立している。それは誰にでもわかる。問題は、現在のような国民国家とは異なるあり方を我々が想像できないことだ。国家のない社会といわれて我々が想像するのは、ある政府が解体された後のカオスだ。でもそれは前提が間違っている。国家の枠組みでしか物事を見ていない。
ラディカルに違うやり方のヒントを探すなら、国家ではない場所を見なくてはならない。そのために人類学は打ってつけのツールだ。政府が機能停止しても何も変わらない日常を続けていた人々。ジェンダー平等的な民主的意志決定を実践していたイロコイ人。小さなユートピアは存在したし、おそらく今も存在する。民主主義はけっして古代ギリシアの発明品ではない。