以前何度も書いたので、また同じことを書くのは気が引けるが、日本版歴史否認論(歴史修正主義)の「真の目的は大日本帝国の復権」とか「当時と同様の権威主義の国家体制に回帰することを望む」というのはミスリードではないか。
自民党の「歴史・検討委員会」(1993-1995)や「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(1997-)を起点とする1990年代後半からの官製歴史否認論(運動)のキーワードが「日本人の誇りを取り戻す」であったことに踏まえるならば、――その運動内部に雑多な方向性を持ったデマゴーグたちを抱えながらも――現在的な「国民統合」に資する国家の正史づくりこそが直接的な目的であって、その目的との関係で、例えば今回の西田が吹き上げたようなナラティブを捉える必要があるのではないか。