NATOの支配を嫌ってド・ゴールは脱退、本部はパリからブリュッセルに移された。ー私は学生時代、一度NATO本部をオランダの学生達(NATO支持者達)の案内で訪れたことがあるが、その時は広報担当者が英語で滔々と「NATOの意義」を述べ立てていた。
つまり「北大西洋条約機構」というだけあってNATOは英米が中心となり、「ソ連の侵入」という本人達もあまり信じていない大義を掲げて大陸欧州を監視するシステムである。
「エシュロン」なる軍事情報システムにはカナダ、オーストラリアなどを含むアングロサクソン諸国は入っているが独仏は排除されている。オバマ時代から独仏指導者の電話通話の盗聴が発覚して問題になったりもした。
WWII後、米軍は独伊仏に常駐。スペインのフランコ政権もそれに協力。米軍は「うっかり」核兵器をスペイン領内に落としたことがある(この時は幸い爆発しなかったが)。
仏から米軍を退去させたド・ゴールは「大西洋からウラル」までと唱えて大陸欧州の米からの軍事的独立を主張。
さて、この文脈を考えると、米側はNATOのヘゲモニーを維持したまま軍事負担増をEUに求め、EU側はこの機に米からの軍事的独立を果たそうとするグループと反対派に分かれている。
この成り行きは要注目と言えるだろう。