マスメディアのフィルタリング機能と両論併記の意義について。
次の箇所は、昨日の兵庫県議会で増山誠県議が百条委員会の報告書を採決することに対して行った反対討論にそのまま当てはまること。
「本当に反対の主張をすべて取り上げるべきなのだろうか。たとえば、地球が丸いという主張やナチスによりホロコーストが行われたという主張にさえも、反対意見は存在する。しかし、マスメディアは地球平面説の主張やホロコーストを否定する主張をも十分な時間や紙面を割いて伝えるべきなのだろうか。おそらく、そう考える人は少ないだろう。その理由は、地球球体説やホロコーストの存在はこれまで数多くの証拠によって支持されてきたのに対して、これらの主張はそうではないからである。にもかかわらず、同じだけの時間や紙面を割いてこれらを伝えることは、『その主張はまだ未決着で、同程度の確からしさをもって論争中の立場のひとつである』という間違ったメッセージを暗黙のうちに伝えることになってしまう」(135頁)
山田圭一『フェイクニュースを哲学する――何を信じるべきか』岩波新書、2024年 https://amzn.to/4bpvlWn