92-94頁で利害関心とバイアスについて。いわゆる利益相反(という表現は本書では使われていないけど)の話。御用学者についても言及(93頁)。これは第1章で見た「誠実性条件」の専門家版であると(94頁)。
この点についても、ほんらいこれらが意味するところと逆に理解ないし逆の使い方をする人が少なからずいるので、効果は疑わしいよね。
兵庫県百条委員会の調査で言えば、公益通報についての専門家の意見は軽視や無視をして、公益通報の専門家でもなければ斎藤知事を支援していた維新や統一教会と深いつながりのある利害関係者であるところの弁護士の意見をこそ採用すべきだという主張なんかがこれに該当するけど、そんな主張をする人に「利害関心とバイアス」の話をしても通じるはずがない。これはでたらめな情報を流す、内容の真偽はどうでもいい人の話ではなくて、本当に認知的にこういう理解をしている人の話として。
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