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この2週間、ロシア・ウクライナ戦争を終わらせるという問題は、ウクライナ国内の希少金属採掘の問題へとすり替えられてしまった。サウジアラビアで行われた米露交渉の参加者たちも、希少金属の採掘について話し合っていたが、彼らはウクライナの占領地やロシア領内の資源に焦点を当てていた。この希少金属問題が、ウクライナへの軍事支援や戦争そのものの議論をメディアから追いやり、今やその議論の場にはドルが並んでいる。
ソ連時代に育った高齢のウクライナ人たちは、この状況の中に、かつてソ連のプロパガンダ漫画が描いた米国の姿を見出している。貪欲で無責任な資本家が、複雑な問題など気にも留めず、ただ超過利益を求めるだけの国——まさに今の米国の姿がそれである。
これは生存をかけた戦争であり、新たな現実だ。トランプは「ゼレンスキーは和平の準備ができていない」と言うが、ウクライナには戦い続ける以外の選択肢はない。かつて無償で提供されていた支援は、今や金で買わなければならない。金がなければ、資源で支払わなければならない。3年にわたるロシアの全面侵略を経て、米国のウクライナに対する地政学的関心は、経済的利益へと取って代わられた。政治家バイデン大統領に代わり、ビジネスマンのトランプ大統領が登場したのだ。
注目すべきは、ウクライナでの希少金属採掘に関する米国の提案が実現すれば、米国はロシアとも同様の合意を結び、戦争が終結するのを待たずに採掘を開始できるという点だ。その枠組みは、米国とウクライナが「平等な条件」で管理する「投資基金」であり、ウクライナは将来的な国有資源(鉱物、石油、ガス)収益の50%を拠出し、それを「ウクライナの安全と繁栄の促進」に充てるというものだ。トランプは「非常に公平だ」と主張する。
だが、その合意がロシアの侵略を抑止することはあるのか? いや、そんなことはない。その合意にウクライナの安全保障が含まれているのか? そのようには見えない。ウクライナに選択肢はあるのか? それも疑わしい。
この状況において、英国とEUはウクライナにとって以前よりもはるかに重要なパートナーとなる。トランプは、ウクライナの資源へのアクセスを米国に有利に整理する一方で、戦争終結後のウクライナの安全保障と軍事支援の責任を英国とEUに押し付けようとしている。こうした状況の中で、希少金属採掘の合意がウクライナにとって何の利益になるのか、全く不明だ。
トランプは「ウクライナ国内の米国の鉱業投資が安全保障の保証になる」と主張するが、これは全くの誤りだ。中国の国有企業COFCOはウクライナのムィコラーイウ港に穀物・油輸送コンプレックスを建設したが、中国の関与があってもロシアのミサイル攻撃から港を守ることはできなかった。この施設は2022年3月以来、稼働しておらず、地域は40%の収益を失っている。