昔、中国の寒村では、兄弟で一人の同じ女性と婚姻関係になるという事はあったらしいですね。
「震災下の中国人虐殺」の著者である仁木ふみ子さんは1990年頃に中国に行き、関東大震災時中国人虐殺の被害者の出身地である事が多かった温州(浙江省)を訪問し被害者やその家族から聞き取り調査をしたのだけど、大島町八丁目での虐殺事件唯一の生存者である黄子蓮の子供にも会っています。
色々話を聞いていると、黄子蓮は黄志森という兄弟がいて、まず、1921年に黄志森が日本に行き、その後23年に黄子蓮も日本に行く。そして、黄子蓮だけ生き残る事なるのだが、21年に黄志森が日本に行く前に、黄志森と黄子蓮は林氏という一人の女性とそれぞれ婚姻関係を結んでおり、黄志森と林氏のあいだと黄子蓮と林氏のあいだにそろぞれ3人、合計6人の子供がいて、6人が兄弟として認識していたという事に気付く。
帰路、同行していた現地地方の政府外事主任に質問する。
「二人の兄弟と林氏の関係は公開の関係でしたか」
外事主任は答える。
「そうです。今はこういう事はありませんけどね。」
魯迅の「祝福」にも描かれていると。
そんな記述がありました。