『狩りの思考法』角幡唯介
なんだ、角幡氏も「北極バカ」になってるんじゃん。本書は『極夜行』以降の角幡氏のシオラパルクを中心とした北極旅行・エスキモー(実は蔑称ではないそうです)・狩猟についてのエッセイ。前半は「現代文明人が囚われている未来予測というフィルター」についての話、後半は「狩猟と偶然・必然・神について」の話のようで、それを繋ぐのがエスキモーの「ナルホイヤ(予測するなんか馬鹿らしい、という含意があるのではと角幡氏が感じている、「わからん」と言う語)」という口癖なのだろう。
「その子が生まれたのはまぎれもなく奇跡的な偶然の所産というほかないのだが、当の親から見たら、自分の子供はその子以外には考えられず、その意味でその子が生まれたのはまさしく必然としか思えない」
全くその通り。
角幡氏は結婚や子どもができることに関しても、「運命に巻き込まれ自分が変えられていく」ということの不思議よくを語っている。
現代日本人はそういう勇気(見る前に跳べ?)を失っているよなあ、だから晩婚少子化経済不安が……とかも思ってしまう。
★★★★☆