「高校生くらいの時なら私も引っかかるかもしれないな。だってアルバイトの妥当金額の幅とか、違法行為ってどこからなのか、しっかりわかってなかったもん」
娘が闇バイトに高校生が誘導されているというニュースを聞いていてポツリと言った。確かに経済に疎い高校生ならこの仕事でこのくらいの賃金なら妥当だが、異様な高賃金の異常さに気が付かない。
こんな会話になったのはビーズを色分けにして整理するだけで時給5000円以上という、大人が見たら明らかに違法ダミー案件なのに、気が付かない高校生がいるという内容だったからだ。
自分ならどうだったかな。おそらく引っかからなかったと娘には断言できる。そもそもネットもSNSもないから引っかかりようがない。というのはお決まりのオチとして、大人の言うことなど教師も含めて信じていなかったからだ。今思えば警戒心の強いハリネズミのような子供だったと思う。
生存ということが常に頭の中にあった。それも別の意味で不幸な話ではあったが、娘がそうではないことも知っている。