〔イスラエル紙『ハアレツ』のジャーナリスト〕ギデオン・レヴィーは、「イスラエルはユダヤ人虐殺の記憶を用いて、人道主義、正義、国際法の遵守を推進するのではなく、ナショナリズムを強化し、軍国主義を正当化した。今日のイスラエルでは、人道主義、正義、国際法の遵守は裏切りと弱さの兆候でしかない……。ホロコースト後、ユダヤ人は、武力の行使だろうが何をしても許されると考えるようになった」と解説する。
レヴィーはこのように言い添える。「ホロコーストの「歪んだ教訓」を活かしているのはナショナリストだけ。そこには普遍的な結論や道徳的な教訓などない。毎年、イスラエルの多くの若者がアウシュヴィッツを訪れる。だが、アウシュヴィッツから戻った後に、ガザ地区との国境に張り巡らされた有刺鉄線の前で、「もうこんなことはごめんだ」と呟いた者はいない。彼らは逆に、「アウシュヴィッツが許されたのだから、ガザ地区だってかまわない」と思っているに違いない」。