"「まだ幼かった私は、人間というのはあまりに怖いと思いました。自分自身も人間であるという事実が恐ろしく、世界はとても暴力的なところだという印象が迫ってきました」
「ユダヤ人虐殺の舞台となったアウシュビッツの話を聞くと、その暴力はにわかには信じられないものです。一方で、地下鉄の線路に落ちた子どもを救うために、自分の命をかけて飛び込む人もいる。人間という存在が持つスペクトラム(連続体)が広すぎて、私には謎でした。その一番下はどこで、一番上はどこなのか、と」
「思春期になって、なんで生きるんだろう、私は誰なのか、人間とは何か、と悩んだ時に、同じ悩みが、それまで私が読んだ本の中にすべてあったということに気づきました」"