スムート(smoot、)は、マサチューセッツ工科大学(MIT)の学生グループが、同校のいたずら (ハック) の一つとして作った長さの単位である。
MITの学生グループ(フラタニティ)「ラムダ・カイ・アルファ」が、ボストン市内にあるチャールズ川にかかるハーバード橋の長さを測るために作った。その際、同会のメンバーの一人であるオリバー・R・スムートが橋の上に寝そべり、体を定規のように使って長さを測ったため、彼の身長が1スムートとなっている。
定義
1スムートは、1958年10月にこのいたずらをしたときのスムートの身長、5フィート7インチ(約1.7メートル)に等しい。これにより、ハーバード橋の長さは「364.4スムート± 1εar」と測定された。「1εar」はスムートの耳(ear)1つ分の長さで、±は誤差を示す。1文字目をεにしたのは、誤差をεで表すからである。
長年にわたり、スムートに関する言及では"±"の位置と"ε"の綴りが誤って書かれていたが、この単位が生まれて50年となることを記念して2008年にハーバード橋のたもとに設置された銘板では、"±"については正しく記載されている。
歴史
ラムダ・カイ・アルファの当時のプレッジマスター(会長)の弁によれば、プレッジマスターはハーバード橋を渡って大学へ通っていたが、その週は2回も遅刻をしてしまった。そこで、会員の誰かの体を使って橋の長さを測るといういたずらを思いついた。その対象にスムートが選ばれたのは、彼が会員の中で最も身長が低かったため、測定に最も手間がかかるからと、「名前が最も科学的だから」だった。スムートが橋の上に横たわり、仲間がチョークやペンキで目印をつけ、スムートは立ち上がって目印の位置に横たわり直した。これを繰り返して橋の長さを測定したのだが、最後にはスムートは疲れてしまい、仲間たちに担がれて移動した。また、このいたずらは夜に行われたが、この最中に警官の見回りがあり、学生たちは警官が立ち去るまで大学のキャンパスの中で隠れていたという…