NHK Eテレに「偉人の年収 Hou much?」という番組がある。先日はS. ジョブズを取り上げていたので観たが随分と浅薄な番組だと改めて思った。
他人のフトコロ具合が気になるのは今に始まったことではなかろう。しかし何の恥じらいもなく此処まで関心をあからさまにするのは、別に上品ぶって言うのではないが、下品極まりないと苦々しく思っている。
米国の経済学者F.H.Knightは人間が価値基準を真・善・美という古典的それに代えて、金銭の多寡に置くようになったのは第一次大戦後だと言う。もしそうなら高々ここ百年のことに過ぎない。
いわゆる近代人は古代人よりも進歩しているどころか退化しているのではないか、と近代初頭の哲学者たちは恐れたが、現代人も同様の反省が必要ではないかと常々考えている。
随分と前、1年生のゼミ生に「先生の年収はいくらですか?」と訊かれて唖然としたことを思い出した。
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30歳で年収いくらほしい? 増えるリアリスト 大学生の理想と現実 | 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20240906/k00/00m/020/081000c